映画『ヤクザと家族 The Family』がTOHOシネマズ日比谷他、全国で公開されました。
舞台は1999年、2005年、2019年の3つの時代。綾野剛さん演じる山本とその家族、変わりゆくヤクザの生きざまを描いた作品です。
ここでは『ヤクザと家族 The Family』の作品基本情報、スタッフ、キャスト。ネタバレありの見どころと感想。初日舞台挨拶LVについて書いていきます。
映画『ヤクザと家族 The Family』の作品基本情報
予告編
製作年
2021年
製作国
日本
上映時間
136分
配給
スターサンズ、KADOKAWA
劇場公開日
2021年1月29日
レイティング
PG12
上映館
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=yakuzatokazoku
映画『ヤクザと家族 The Family』のスタッフ
監督・脚本
藤井道人さん。
2019年公開の『新聞記者』は日本アカデミー賞をはじめ、多数の映画賞を受賞。
主題歌
millennium parade『FAMILIA』
曲だけでなくMVもすてき。映画『ヤクザと家族 The Family』の世界観を表現しています。
エンドロールでは本編の余韻と共に聞き入りました。
映画『ヤクザと家族 The Family』のキャスト
綾野剛 | 山本賢治 | 柴崎組 若頭補佐 |
舘ひろし | 柴崎博 | 柴崎組 組長 |
北村有起哉 | 中村努 | 柴崎組 若頭 |
菅田俊 | 竹田誠 | 柴崎組 舎弟頭 |
康すおん | 豊島徹也 | 柴崎組 舎弟 |
市原隼人 | 細野竜太 | 山本の舎弟 |
二ノ宮隆太郎 | 大原幸平 | 山本の舎弟 |
尾野真千子 | 工藤由香 | 山本の恋人 |
小宮山莉渚 | 工藤彩 | 山本・工藤由香の娘 |
寺島しのぶ | 木村愛子 | 柴崎組 元若頭の妻 |
磯村勇斗 | 木村翼 | 愛子の息子 |
岩松了 | 大迫和彦 | 静岡県警 マル暴刑事 |
豊原功補 | 加藤雅敏 | 侠葉会 会長 |
駿河太郎 | 川山礼二 | 侠葉会 若頭 |
映画『ヤクザと家族 The Family』のネタバレありのあらすじ
1999年 出会い
山本賢治の父親は証券マンだったが、覚せい剤に手を出したせいで命を落とす。母親はすでに他界しているので山本は天涯孤独に。ある日、愛子の店で襲われた柴崎組組長・柴崎博を助けた縁で、山本は柴崎組の組員となる。
2005年 抗争
柴崎組と侠葉会との抗争がだんだん激しくなる。侠葉会の加藤の指示で柴崎が狙われ、代わりに大原が亡くなる。報復をするために向かった山本は侠葉会・若頭の川山を見つけて殺そうとするも、中村に先を越される。しかし、山本は中村の身代わりとなることを決意した。
山本は学費のためにキャバクラ(柴崎組の縄張り)で働いていた由香と出会い、彼女の前ではつかの間の幸せを感じていた。2人の関係が深まろうとしているときに、山本は逮捕されてしまった。
2019年 出所後の世界は激変
14年後、山本が出所。柴崎組はこじんまりとした事務所で数人の組員のみ。暴対法の影響で以前のような勢いはなくなっていた。しかも、柴崎はガンに侵されていた。
生きるために、夜の海で密漁する舎弟たち。義理人情を語っていた中村は柴崎のポリシーを破り、シノギとして覚せい剤の売買をしている。中村は使用してはいないと言うが、実は手を出していた。
山本の舎弟だった細野は組を抜け、結婚して一児の父親。ヤクザから一般人になるまでの苦労を口にする。仕事、口座、保険、家に至るまで、人間として扱ってもらうには5年かかる、と。
愛子の息子・翼は夜の街を仕切る青年になっていた。かつてあこがれていた山本の若かりしころのような金髪。もはやヤクザの時代ではないと、侠葉会の加藤の誘いもかわす。
山本は由香と再会し、14歳になる娘・彩がいたことを知る。ついに入院してしまった柴崎の勧めもあり、組を抜ける。彩には父親だということを隠しながらも3人で幸せな生活を送る。
仕事は細野のおかげで彼と同じ産廃業者で働くことになる。
ある日、同僚がSNSにあげた写真のせいで山本と細野の経歴が拡散されてしまい、せっかく得た仕事を失う。由香も役場の仕事を辞めることになった。山本と別れ、住んでいた社宅を出る。彩は転校する。
家族を失った山本は愛子の店を訪れる。
山本は、柴崎組の組員だった父親を殺した犯人を見つけた、と言う翼に昔の危うい自分を見たようだった。
山本が向かった先はマル暴刑事の大迫のもとだった。
翼の父親の敵討ちを終えた山本は海の釣り場にいた。そこに細野が現れ、山本をナイフで刺した。細野も仕事と家族を失った。山本が帰ってきたせいだと言った。山本は「ごめんな」と、細野を抱きしめた。そして、力尽きた山本は海へ落ちた。
山本の殺害現場に翼がいた。花とタバコを手向けるためだ。
彩も花を持って訪れた。「お父さんってどんな人だったの?」
翼は一瞬言葉を失ったが、すべてを理解した。「少し、話そうか」
彩はうなずいた。
映画『ヤクザと家族 The Family』の見どころ、感想
1999年の出会いで、柴崎に優しく声をかけてもらった山本が、思わずおえつするシーンはグッときました。行き場を失った山本の心が、柴崎により救われたようでした。
2005年のヤクザの抗争は、派手なアクションや激しい銃撃戦ではありませんが、逆にこれがリアルに感じられる演出でした。
山本はとっさに中村の身代わりとなることを決断し、行動します。組のため、兄貴分のために、ここまでするなんて、義理堅いにもほどがある、と歯がゆくなりました。
テレビのニュースで山本の逮捕を知った由香の心中は穏やかではなかったでしょう。
2019年の激変した世界は切ないです。
柴崎組は抗争というよりも暴対法により追い詰められていきます。
規模が縮小していっても組員を守ろうとする組長・柴崎の男気と優しさ。柴崎を本当の父親のように慕う山本。
柴崎を演じた舘ひろしさんの哀愁漂うたたずまい、オーラを感じる存在感。カッコよすぎでした。
綾野剛さん演じる山本が、もがきながら自分の居場所を探し、生きていく姿は苦しくて切なすぎました。
山本は柴崎にしてもらったように、翼を、細野をハグして頭をなでます。世代の「継承」を感じました。山本の青年期からの激動の20年間は見ごたえがありました。
ヤクザをやめて一般の暮らしを求めたがうまくいかなかった細野と山本。もうちょっとで幸せをつかめたのに、と胸が痛かったです。
手をついて泣きながら「お願いだから出ていってください」と山本に言わざるを得なかった由香。愛する人と別れなくてはいけないのはつらいですね。
権力を振りかざして裏では違法行為をするマル暴。現実はどうなのか分かりませんが、ヤクザよりある意味怖いです。
家族同然の翼の未来を守った山本。最後まで翼のあこがれたカッコいい山本でした。
時代に翻弄されて変化していくヤクザとその家族たちのリアルな生きざまと絆を見せられました。
映画『ヤクザと家族 The Family』初日舞台挨拶LV
登壇されたのは藤井道人監督、綾野剛さん、舘ひろしさん、磯村勇斗さん、小宮山莉渚さん。
綾野剛さんは舘ひろしさんからいただいた(継承)というストライプのスーツ姿。今作は「絶賛の言葉をもらった。これまでの集大成になる」とのこと。そして、同じく1月29日公開の『花束みたいな恋をした』など他作品に関しても言及されました。エンタメ業界全体を思いやる気持ち、すばらしいです。
舘ひろしさんは、観客に対して、コロナ禍に勇気をもって来場してくれたことへの感謝をしてくれました。「渡哲也さんに観てもらいたい…」の言葉が胸に響きました。
磯村勇斗さんは「綾野剛さんから愛をもらった」と撮影現場の雰囲気を懐かしそうに伝えてくれました。
小宮山莉渚さんは「当たり前と思っていることが当たり前ではなく貴重なこと」と気づきがあったそうです。
藤井道人監督は撮影後に、「こんなすごい方々と一緒にやれていたんだ」と感慨深げでした。
最後に綾野剛さんへ、お誕生日祝いのお花が贈られました。1月26日で39歳ということで「39,GO」とお花で描かれていました。お誕生日おめでとうございます!
映画『ヤクザと家族 The Family』のまとめ
『ヤクザと家族 The Family』の作品基本情報、スタッフ、キャスト。ネタバレありの見どころと感想。初日舞台挨拶のLVについて書きました。
時代に翻弄される山本とヤクザの生きざま、家族のあり方、すべてが切なく、いとおしく感じました。ラストは感涙必至です。
抗争よりも時代と暴対法により規模を縮小していくヤクザをリアルに描いた、これまでにないタイプのヤクザ映画です。
キャスト陣の魂のこもった演技に圧倒され、ストーリーに没入しました。ぜひとも、映画館で鑑賞していただきたい作品です。